座頭鯨は電報中

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バーン、ボン(クレー射撃の標的と間違えて石板が撃ち落とされた音) ウィーン、ピロロン(友達がスーパーに入るときの音) ザッ、ザザザッ、ザッザッ(各地で粉々になった石板が一ヶ所に集まる音) 「うん。カアくんが好きなら、その穴でもいいよ」(?) ガジャ、ザザガジャ(友達が買った野菜をビニール袋に詰める音) カチャーン、カチャーン、カチャーン(粉々になった石板が合体して石像になった音) キュルキュルキュル(友達の内蔵が活動する音) ガチンガチンガチン(石像が歩く音) コンコンコンコン(友達が包丁で野菜を切る音) ズバーン、バキバキバキ(石像がアパートのドアを破壊する音) キン、カン、コキン、カン(友達が包丁で応戦する音) ……(沈黙) ……(沈黙) ……(沈黙) ガチンガチンガチン(石像がアパートから出ていく音) 「わあ!カアくんって噴水みたい!」(?)  こういう理由で友達の冒険は始まった。今回の相棒は座頭鯨。なかなかのやり手で頭も切れる優秀な奴だ。問題があるとすれば陸を歩けないことぐらいだが、体格を理由にして職業選択の自由を侵すことは出来ない。 「あの、そろそろ目的地ってやつを教えて下さい」 「コスタリカの裏側だってさ」 「そこって暑いですかね?それとも寒いですかね?」 「さあ、分かんないな。太陽の数が幾つかも分からないし」  太平洋のビキニ島付近で、友達を載せた座頭鯨がゆっくり泳いでいた。動力は原子力で、アメリカの最終生物兵器だ。尻の穴から高レベル核廃棄物を噴出させて推進する。もちろんこれは嘘だ。 「んなアホな!太陽の数くらい数えんかいボケ!ブッ殺すぞ!」 「殺せるもんなら殺してみい!どないやねん、はよやってみんかいクソガキが!」 「おう、今からブッ殺してやる!地上には何も残さん!肉片一つ残さず砕いて海に捨てたるしな!」 「はよせんかい!ほらここが心臓や!刺せや根性なしが!」  とにかく二人は仲良しだったが太平洋上は退屈だった。フランスかアメリカかロシアか国は不明だけど潜水艦と鬼ごっこをしてみたが退屈だった。核実験を見学しても退屈だった。冗談でビザを注文したらジェット戦闘機で配りに来て驚いたけど、何回も注文したらジェット戦闘機宅配も飽きて退屈した。
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