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「ていうか、皆成績が似たり寄ったりじゃねえか」
と衝撃の事実に気づき、田原は慌てて松尾に指摘した。
「もう1人増やすさ」
と爽やかな笑みを浮かべた松尾を果たして頼って大丈夫なのか、と思う。
「じゃ、野々村君帰ろうか」
と高野と話し込む野々村に言った。
残念ながら、中学からの付き合いの野々村ですら呼び捨てに出来ない。
心の中で呼んだ名前もいつも他人行儀なものだった。
心の中でぐらいさ、といつも思う。
「じゃ、そういうことで」
と主語を欠いた挨拶で野々村と一緒に物理教室を出た。
暑い割には空は既に秋だ。
夕暮れがすくそこに迫っていた。
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