夏至りしひと時

7/7
前へ
/7ページ
次へ
半時もしないうちに、にぎやかさは増した。室内でやられては困るので外に出てもらったが、なんとも奇妙なメンバーである。 外を見ると始めから居た霊夢、萃香、魔理沙は何もせずただ座ってしゃべりあっていた。準備を任されている二本の刀を携えた子は妖夢、というらしいが、とても忙しそうである。 他には店でお得意様のメイドの咲夜さんと彼女のさす傘の下にいるレミリアさん。 そして少し離れたところに名前はわからないが着物の子と先日お世話になった妖怪の紫がいる。 それにしても今日は本当に暑い、日陰にいる僕でさえこの汗だ。彼女達はもっと暑いのだろう。 一人で部屋にいるためすることが無く暇である。外に出る気もしないので本に手を伸ばした。 なかなか読書に集中できない。外が騒がしいからではない、少し先ほどの仮説に違和感を覚えたのだ。別に他に答えが思うつくわけでは無い。ただなんとなく……だ。 「なにか浮かない顔をしているわね」 いつから居たのだろうか。声に驚いて正面を見ると机をはさんで紫が居た。 「今日は、何故スイカ割りを?」 僕のために用意されたスイカに手を出しながら紫が聞いた。手癖が悪いのは彼女もか。 「魔理沙が外の世界のチラシを見てやりたいといいましてね」  今日の出来事を僕の仮説も含めて詳しく説明した。 「なるほど、なかなか面白い仮説ね。でも、正解であって正解じゃないわ」  まるで雲をつかむような返答である。では何が正解だったのだろうか? 「暑さをしのぐという意味では正解でしょうけど本当の答えではないわ。外を見てごらんなさい」 言われるままに外を見て、はっとした。 ああ、簡単なことじゃないか。 スイカを片手に笑いあっている少女達は、どこまでも楽しそうであり、とても暑さを感じているようには見えなかったのである。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加