夏至りしひと時

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――カランカラン。 「はいったぜ。まったく、外の暑さは異変だな。空から焼き鳥が落ちてきそうだぜ」 「なんだ、魔理沙か。かき氷なら今年は無いよ。あいにくシロップが尽きていてね」 霊夢と共に毎日のように食べに来たもう一人。まるでタイミングを見計らったかのような登場には毎回驚かされる。 「かき氷? ああ、そんなものもあったな。でも今年はこれだぜ」 「何だい、そのチラシは?『夏の暑さを吹き飛ばせ! 町内スイカ割り大会』だって?」 確かにチラシには、そう書いてある。紙の質を見ても印刷技術を見ても、幻想郷の物では無い。おそらく何かの拍子にこっちの世界に流れ着いたのだろう。魔理沙が何のために来たかは明白だった。 「つまり君はその手に持っている大きなスイカをこのチラシに書いてあるように割りたいと?」 「そう言うことだ。ここに来れば誰かしら来ていると思ってね。案の定、霊夢が来てるみたいだな」 はあ、なんで彼女たちは待ち合わせたように集まってくるのだろうか。客としてなら歓迎だが、当然魔理沙もそうではない。しかし、これもいつものことか……。 「私だけじゃなくて。萃香もいるわ」 「おう、いるぞ。忘れるな」
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