過去、記憶の末端

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ベリアはそれを聞いて、いたたまれない気持になった。 「どうしますか?」大臣が母に詰め寄って言う。   母は頭を抱えて窓枠に体重を預けた。それをどこか遠くに見つめながら、ベリアは動こうとはしない。まだ幼い頭で必死にどうすればみんなが幸せになれるかを考える。いや、彼にとっては、みんなではない。   どうすれば、妹を幸せにできるか。危険が少ないかを必死に考える。   ベリアは妹の額に唇を触れさせると、布団を抜け出して母のもとへ歩み寄った。   彼らは気付かずに話を続ける。 「このままでは貴族の上層部のみならず、軍が口を挟んできます。そうなれば現王も女王陛下も、そしてマリア様も位を剥奪されるのは必然です。正しい決断を」   大臣はそう言うが、それは選択を求めているものではない。一刻も早く、皇子であるベリアを処刑しろと遠回しに言っているのだ。 「…………」   母は頭が割れてしまいそうなほど、自身の頭蓋を握る手に力を込めた。 「わかっています……ですが今日は気分が悪い」 「女王陛下!」 「頭痛がします。下がりなさい」 「自体は一刻を争うのですぞ、決断を」
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