蛍と神風

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「はは、どうやら奥様は喉が渇いているようだね。何かお飲みになるかな?」 初老のマスターは席を立ち、カウンターに入ると笑顔で妻に注文を聞いた。 「すみません・・」 何故僕が謝っているのだろう・・ 「何かお勧めのお酒はありますか?」 妻はお構いなしに注文をしている。 「お勧めねぇ・・」 初老のマスターは顎に手を当て、考えている。 「はい、私達、何でもいけますから」 僕もなのか・・・ 「じゃあ、用意しようか、雪国がお好みなら平気だと思いますよ」 初老のマスターはそう言って笑顔を一つ見せるとシェイカーを取り出し、酒を作り始めた。 ウォッカ 3/4 ホワイトキュラソー 1tsp ライムジュース 1/4 を注ぎ、氷を詰め、シェイク。 オールドファッションドグラスに注ぎ、氷を加える。 「はい、どうぞ、カミカゼ」 「カミカゼ?」 妻は不思議そうに首を傾げている。 「そう、カミカゼ」 「カミカゼって、特攻の神風の事ですか?」 僕も一緒になってマスターに尋ねた。
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