蛍と神風

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特攻隊の出撃は早朝が多く、同時に出撃する隊員達それぞれが別れの盃を交わし、黙って機上の人となった。 整備兵や知覧高女の女学生に見送られる中、死ぬとわかっていながらも、家族の為、祖国の為と言い聞かせ、朝焼けに染まり、茜色をした空へと飛び立っていったのだ。 しかし、アメリカ兵にとって捨て身の特攻作戦は、初めは恐れであり、驚きではあったが、アメリカ軍の迎撃体勢が整うと、特攻機の多くは、目的の敵艦に到達する前に撃墜されてしまったのである。 知覧から沖縄までの二時間半、“我突入す”の伝聞を残し、彼等は南の海に散っていった・・・      
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