蛍と神風

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「ほら、また光った」 妻は紺碧の空にぼんやりと光るその小さな黄金色の光体を指差し眺めている。 「あ、本当だね」 僕は妻の指差す方向を目で追いながらその光体を一緒になって眺めた。 「まさかこんな場所で見る事が出来るなんて思わなかったわ」 妻は指を差したまま目で追い、笑顔を見せた。 「ああ、運が良かったのかもしれないね」  僕は小さな光体を見逃さないように目を見張った。 九州は鹿児島、鹿児島市内。 夕暮れ時、桜島の噴煙を間近で一望できる川辺の遊歩道を僕は妻と二人で歩いていた。 黄金色を帯びて光る光体は上昇下降を緩やかに繰り返しながら小さくなってゆき、やがて見えなくなった。
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