蛍と神風

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「なぁ」 「何?」 「今日のマスターの話」 「うん」 「僕等に何か出来る事はないかな?」 「あるわよ」 「え、例えば?」 「これから生まれてくる私達の子供に言って聞かせる事よ」 妻は自分のお腹をさすりながらそう言って微笑んだ。 「えっ!本当かい?できたの?」 「嘘よ、これから作るの」 「・・・・・・・・・・・」 「さ、部屋の片付けまだ終わってないんだから、帰りましょ、明日から会社よ」 妻はそう言うと柵から離れ、僕を置いて遊歩道を歩き始めた。 「おい、待ってくれよ」 僕は慌てて妻を追いかける。 僕と妻とのスタンスは、永遠にこのままなのだろうか・・・ 蛍たちは我関せずと川のほとりで戯れ、漆黒の闇夜を淡い光で照らしていた・・・・     完
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