蛍と神風

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「いやいや、いいから。わたしからお誘いしたのだから」 初老のマスターはそう言って快く注文を受け取った。 「すみません・・」 僕はマスターに頭を下げた。 「あなたはどうするの?」 妻は冷静に僕の注文を促す。 「ああ、僕は同じもので結構ですから」 僕は初老のマスターの顔色を窺いながらすぐに注文をした。 「いいんですよ、気を遣わなくとも、雪国でいいのかい?」 「ええ、本当に同じもので構いません」 「じゃあ、雪国を二つね、少々お待ちを」 初老のマスターは注文を受け取るとすぐに酒を作り始めた。 グラスリップにライム果汁をリンスし、砂糖でスノースタイルを施す。 シェイカーを取り出し、ウォッカ 2/3 ホワイトキュラソー 1/3 ライムジュース 2tsp を注ぎ、氷を詰め、シェイク。 双方のカクテルグラスに均等に注ぎ切ると、毬藻を模したミントチェリーを落とした。 「はい、お待たせ」 運ばれてきた雪国は綺麗に白濁しており、ホワイトキュラソーとライム果汁の爽やかな香りに包まれ、飲み手側の心をくすぐる。
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