冬日の魔女と、ある孤児の話

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明くる日の朝、孤児は魔女が指図するままに、その心臓を取り出した。雪のように白い肌とは正反対に紅く脈打つ命の証を、孤児はしっかりと外套にくるんだ。 旅立つ前に一度だけ、魔女は孤児を強く抱きしめた。 「獣の角を持つ人の子よ。今まで苦しかったでしょう。もう二度と会えないでしょうが、他の誰に誤解されようと、私は貴方の優しくて、誇り高い心を知っています。これからは強く生きなさい。さようなら」 「さようなら、冬日の魔女。貴女に会えて良かった」 後ろ髪を引かれながら、踵を返して歩き出す。振り返ればすぐさま引き返してしまいそうで、やがて孤児は駆け出した。早鐘を打つように鳴る己の心臓と、外套の中で静かに鼓動する魔女の心臓が熱く火照った。
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