お盆休み

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「とにかくだな、私は自分の考えが間違っていたとは思わない。もちろん、亮の考えも間違っていない。しかしどちらもあってない…、私も亮も詩織を考えるフリをして自分の意見を押しつけていただけだ」 「あぁ、そうだな。つまり…」 「詩織の幸せは詩織自身が決めるべきだ」 さすがと言うべきか、美咲は昨日俺が思った事と全く同じ事を言った どうやら俺たち2人はぶつかり合っても結局同じ所に帰ってくるらしい 可笑しくなって俺はクククッと笑う 「な、何を笑っているんだ!?今のどこに笑う所があった!?」 「いやさぁ、俺たちやっぱり夫婦だなって思ってさ」 「答えになっていない!具体的に答えろ具体的に!!」 「だから…」 俺は美咲の腕を引っ張りこっちに引き寄せ、優しく抱き締める そしてそのまま口を耳元に近づけて 「俺も同じ事考えてたって事だよ」 と囁いた 「う…あ…、そう…か…」 美咲は照れたのか俺の胸板におでこつけ上を向こうとしない そんな美咲の髪をサラサラと弄びながら言う 「詩織ちゃんが起きたら聞いてみような…、詩織ちゃんの意志を」 「そうしよう…、いやそうしなくてはならないな」 美咲はやっと顔を上げてくれた 「なんつーかさ、美咲」 「なんだ?」 「…こうやってきちんと理解しあえるなら、たまにはぶつかり合うのも良いかもしれないな」 「うむ…、そうだな。私もそう思うよ」 「でもまぁ、体の方はほとんど毎日ぶつかり合っ…ゴフッ!?」 美咲は脇腹にものすごく強烈な右フックを放っていた 「黙れ、このド変態魔神空気ブレイカーめ。貴様なんかありとあらゆる肉食獣に噛まれて死んでしまえ」 そう言って美咲は俺にもう一度右フックを食らわせ、俺の腕から離れていってしまった
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