33人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
頬を赤く染めている私を見て、またチェシャ猫が笑い出す。
「アリス真っ赤。」
『だって、だって!チェシャ猫が…』
「あぁーごめん。でも、本当に“真紅のアリス”…」
さらりと私の髪を撫でながら、チェシャ猫はどこか遠くを見ているかのような眼をして呟いた。
『え?』
「いや、別に。それよりもこれで現実だってわかった?後さ、俺のことはレインでいい。」
『あ、うん。』
あの言葉はまだ気になるけど、本当にびっくりした。
チェシャ…レインとかいきなりだから。
「まだ赤い。」
『ふぇ!?え!?』
「まぁいいや。っで、アリスが探している道は?」
突然話を変えるレインに戸惑う私。
でもやっと本題に入る事が出来る。
『階段を探しているんだけど。知ってる?』
「階段ねぇ。さっきユキルが通っていったとこか。ユキル追いかけてんの?」
『兎さんを追いかけてるって言うより、ただこの世界から出たくて。』
「それで階段?」
『そう。』
「ふぅ。本当に馬鹿。ここは、そんな簡単には出られない。」
『え?じゃあ、どうすれば良いの?』
「さぁ?俺知らない。精々頑張って、アリス。」
レインはそう言うと、みるみる足元から透けて消えていく。
『待って!レイン!階段の見つけ方は?』
「教室を開けな。」
その一言を言うと同時に、レインの体は完全に消えた。
next…
最初のコメントを投稿しよう!