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太陽が西に沈みきる前になんとか翡翠は学園に戻って来られた。
翡翠は般若のような顔をしながらテニスコートに向かう。
コートに着くと、猛ダッシュでバカの所まで走る。
―ゲシッ!
「Σいッ!?」
林の後頭部に向かって跳び蹴りをくらわす。
「~ッ!」
あまりの痛さに声も出ない。
「うわぁ…」
隣りで見ていた西原は、顔が真っ青だった。
「ッ何しやがる!!琴月!」
痛む頭を抑えながら振り返って聞く林。
「あ"ぁ?てめぇこそ何しやがる!!俺をコキ使いやがって!俺はなぁ、コキ使われるよりコキ使う方が好きなんだよ!!」
「どさくさに紛れて何言ってやがる!」
球拾いをしていた一年からボールの入ったカゴを奪い取る。
それを全力で林に向かって投げつける。
「やめろって!翡翠!!」
西原が後ろから翡翠を止めた。
「離せ、誠!人を平気でコキ使ってイジメる最低な奴を俺は見逃す訳にはいかないんだ!!」
「自分は見逃してんじゃねーか!!」
やいやい言いながらやっと林へのイジメはなくなった。
「…荒楓の部長にちゃんと渡したから。」
腕を組んで偉そうに言った。
「…あぁ。ご苦労。(偉そうにしやがって)」「じゃ、俺帰る。」
部室の方へ歩いて行く翡翠。
途中で翡翠が振り向く。
「林、なんか奢れ」
「は?」
いいから、と腕を引っ張られる。
「誠も道づれ」
「はぁ!?」
西原も腕を引っ張られ三人で部室へ戻る。
その日は珍しい組み合わせで、それぞれの家に帰った。
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