授業

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『転校生のくせにアイツ調子乗りすぎじゃね?』 『思った』 『いくら顔が良くても態度が腹立つよな』 こそこそと喋る男子が3人。翡翠とは違うクラスのようだ。 『アイツに痛い目見せてやろうぜ』 『お、いいね。』 『でも、どうやって?』 それはな…、と耳打ちをする。男子たちはニヤリと笑って翡翠の方へと歩いて行く。 「君もあの子たちと行かないの?」 指を離れていった女子たちに向ける。 「翡翠君だけに任せれないよ」 にこりと笑う彼女。 それは、…俺だけでは頼りないと? 違いますよ。翡翠さん 「でも危ないし、それに…」 言いかけた途端、さっきの男子3人が審判用の椅子越しに、獲物を追い詰めたような目で見て来た。 その瞬間… 重い審判用の椅子が翡翠と彼女目掛けて倒れてきた。 「…ッ?!」 翡翠は慌て彼女を見る。彼女は動けないのか、足を震わせて立ち竦んでいた。 「…チッ」 翡翠は彼女だけでも助けようと思い、彼女の体を突き飛ばした。 「キャッ?!」 小さな悲鳴を上げて、尻餅をつく。 次の瞬間―― ガッシャー―――ン!!!! 重い鉄の塊が翡翠の頭上に落ちた… 翡翠は、下敷きになりこめかみからは血がタラリと流れていた。 「キャァー――――ッ!!!!」 先程助けた彼女が叫ぶ。 「っどうした!?……琴月!!?」 教師たちが、駆け寄って来た。下敷きになって頭から血を流す翡翠を見て騒然とする。 騒がしい教師たちの声で、翡翠は目を覚ます。 虚ろな目で、倒してきた犯人の男子共を見つけ、ギロッと睨む。 だが、頭を打ったせいか全然気迫がない。 それを見ていた男子共は、ニヤニヤと翡翠を見下しながら、笑っていたのだ。 「翡翠ッ!!!」 直が翡翠の名前を呼びながら、走ってくる。林、間宮、西原も直に続いてこっちにくる。 「…ク…ソッ……」 そこで翡翠の意識は途切れた―――…
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