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翡翠はゆったりと廊下を歩く。廊下には結構人が多く、包帯を巻いてるせいか周りからジロジロと見られる。
翡翠は気にせず、自分の教室に向かう。
教室の前に着き、ドアを空ける。瞬間、教室にいた全員がドアの方を向く。
「翡翠ッ!」
直が勢いよく抱き付いて来た。その拍子で体がふらつく翡翠。
「大丈夫なの!?」
今にも泣きそうな顔で、見上げてくる直。
「あぁ」
出来るだけ直を安心させようと精一杯笑おうとする翡翠。
「よ、良かったぁ~」
顔を押し付けて抱き付く力を強くする直。
翡翠も直の頭を優しく撫でる。
すると、周りにいた生徒たちが翡翠に近づき、心配の声や安堵の声をそれぞれ言う。
「直、間宮たちのとこ行くぞ。」
「うん!」
翡翠は間宮に制服をお礼言うべく、隣りのクラスに向かう。
だが、翡翠にはもう一つそこへ行く理由があった。
翡翠は目的の教室に着くと、中をキョロキョロと見渡し、間宮たちを見つけると真っ直ぐ向かう。
「間宮。制服サンキューな」
小さく笑って言う翡翠
「あぁ。それより、怪我大丈夫か?」
コクンと頷き、また教室を見渡す。探していたものがやっと見つかり、誰にも見えないように、ニヤリと笑う翡翠。
迷いもなく、それに近付く翡翠。
「おい」
ドスのきいた声でそれを睨み付ける翡翠。
「な、なんだよッ?」
怯えながらもちゃんと返事をする男子。その後ろで男子2人も怯えていた。
そう、そいつらは翡翠に怪我をさせた張本人たちだった。
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