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「さっきは、どーも」
顔は笑っているが、目は笑っていない。
「…ッ」
男子共は、少し悔しそうに顔歪ませる。
その様子を教室にいた生徒は、黙って見ていた。
「俺は別に気にしてないけど、…あの子に謝ったか?」
翡翠の視線は男子共から外して、後ろにいた先程助けた彼女に視線を向ける。
「怪我がなかったからとはいえ、一応被害者なんだからさ。」
と、冷たい目で男子共に視線を戻す。
「…ッごめん」
男子共が椅子を立ち、彼女の前までいき、深く頭を下げて謝る。
彼女は気にしないでと、優しく男子共に言う。
向きを変え、今度は一番被害があった翡翠に謝ろうと、男子共が頭を下げて謝ろうとするが…
「謝んなくていい。」
と、男子共の謝罪を遮った翡翠。
「「「…え?」」」
「別にいい。謝るんなら最初からすんなってなるだろ?悪口を言うのは、人の勝手だ。だが、それに他人を巻き込むな。」
真剣な顔で翡翠は、男子共に言う。
そこで今まで自分たちが他人にとても迷惑を掛けていたのに気がつく。
申し訳なさと罪悪感とがぐるぐると混ざり合い、自然と頭が下を向く。
翡翠はニヤリと笑った。
「お前ら、慰謝料代として今日1日テニス部のマネージャーだから」
この教室にいた全員の目が点になる。
「俺、頭痛いし腕も打撲であんま動かねぇんだよ。」
ニッコリと爽やかに笑う翡翠。
男子1人がなにか言おうとするが
「否定権ねぇから。」
と、言われ遮られた。
「お前はほんと自分本位だな!」
今まで黙っていた、西原が声を荒げて言う。
「当たり前。」
最低発言。
それから、放課後になり翡翠に言われた通りにマネージャーをする(←健気)男子たちは『あの時、謝っとけばよかった』と後悔するのであった。
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