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「今日16時に武乃宮孫武第九十七代目国王が逝去なさいました。」
最早、ブラウン管が完全に絶滅した時代に部屋の液晶テレビから不幸な報せが届く。
いつの間にやら自民や民主やらという政治を握っていく組織は時と共に無くなり、日本は国王を君主として動いていく国家となった。
独裁国家という形でも旧時代のようなものではなく、国民の生活は保障されている。
それが国王の基本とする義務。
しかし、正直な事を言ってしまえば、幾ら国王が変わろうと世間の根本的な善行悪行は変わりはしない。
個が世間が変わろうとしなければ何も変わらない。
マナーとは自らの自制心によってレベルを変えていく。
国王が変わって、どうこうという問題ではない。
「これに伴い、第九十八代目国王は武乃宮尊様が継承する事になりました。中継です」
「この度、若輩ながらこの国の王になることになりました。武乃宮尊です。正直、ボクであることに不平不満はあるでしょう。こんな若いヤツが国の上に立っちゃうんですから」
数時間前に同じ空間を共にしてた男性が変わらない少しおちゃらけた口調で話してる。
「父は偉大ではあったが、人間の根本的な部分には目も暮れなかった。政策云々以前に僕は人を変えたいと思っています。国は今腐っています」
齢同じと思える人物がこうも国を否定した。
第一章-完-
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