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視界に広がるのは高速の世界。
かろうじて目で追える極限の世界で、私は偽りのアサルトライフルを撃つ。
『敵、残り二機だ。
だが、油断だけはするなよ』
耳に響くのは女の声。
私はイエス、とだけ答え、次の標的へと向かう。
偽りの世界で偽りのブースターを吹かし、偽りの敵に一気に近付いて、偽りのレーザーブレードで胴体と頭を切り離した。
残るは一機。
背中に乗せた偽りのスナイパーライフルに武器を切り替え、約三千メートル離れた敵機体に標準を定める。
こちらには気付いていないようだ。
一発で決める。
バシュッ、と砲弾が宙を駆け走る。
その放たれた砲弾が敵機体のコア部分に着弾して爆破した。
『シミュレーション完了だ。
……Aランクだ、上出来だな。
まぁ、こんな雑魚共に遅れを取る粗製などいるのか分からんがな。
ご苦労だったな、終わりだ』
集中し続けていた状態から解放され、私は軽く息を吐いた。
目を軽く閉じる。
偽りの世界がフェードアウトしていく──
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