agitator

6/41
前へ
/49ページ
次へ
その赤い星はまるでルビーのように深い赤色に輝き、少年はその星の美しさに見惚れました。 日が過ぎて、平和な時代が終わろうとしていました。 隣国が侵略してきて戦争が始まったのです。 戦争が激しくなっていくごとに、その赤色の星の輝きは鈍くなっていきました。 お世話になったおじさん達がいなくなっていて、少年の心もどんどん暗くなっていきました。 戦争が更に激しくなっていて、ついに少年の父親も戦争に行くことになりました。 母親が泣きました。 少年ももちろん泣きました。 「行かないでお父さん!」 「大丈夫、私は必ず戻ってくるから」 そう言って父親は笑って出ていきました。 少年はその夜も、泣いて真っ赤になった瞳で赤い星を見ました。 「お願い、星さん。 お父さんを助けて下さい」 少年がそうお願いすると、真っ赤な星は少年のお願いに答えたかのように、輝きを取り戻し始めました。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加