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まだ通信機からは言葉が出ていない。
何を言おうとしているのだろうか。
深刻なことなら、もうこれ以上は勘弁してほしいぐらいだ。
「……約束を守ってくれて、あ、あ、ありがとな」
そう言って、通信が強制的に切られた。
私は言葉の意味をゆっくりと理解して、通信機の相手が赤面して言うところを想像し、思わず笑いがこみ上げてきた。
こらえきれずに笑った。
大きく口を開けて、肺を大きく動かし、腹が痛くなるほど大声で笑った。
笑いがようやく収まって、私は通信機を取る。
相手が聞いてくれているかは分からないが、応答ボタンを押す。
「こちらこそ、ありがとう」
右手で操縦して、空中へとライフルで号砲をあげる。
この砲撃の音が、このケニアの地から約一万三千キロメートル遠く離れた島国に届くことを祈って……。
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