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トンネルに入ってからというもの
バスの中は先ほど比べものにならないくらいに
静まっていた
そんな中で目を覚ましたのは
安田康隆
やすだやすたか
だった
やすが2回も付いて
少しばかり厄介であるが気にしない
彼は静まったバスをぐるりと見回した
みんな寝ている
藤林先生の手が
座席からだらしなく垂れ下がっているのが見える
それにしても
瞼が重たくなってくる
目は覚めたが
また意識が朦朧としてきた
康隆がふと運転席に目をやった時
閉じかかっていた瞼が
一気に見開かれた
運転手が
ガスマスクをしているではないか
これは
何かの映画で見たことのあるシーンだ
康隆は思い出そうとしたが
どうしても睡魔が邪魔して
無駄だった
だが
まだ辛うじて目は開いている
康隆は普段から
顔が寝不足のために死んでいて
目は常に閉じかかっている(まつげが長いのも原因かも)
一体このバスは
どこに向かっているんだ
この状況は明らかに
ただ事ではない
異常である
康隆は睡魔で鈍っている脳をフル回転させた
どうやら
バス内に催眠ガスが撒かれているようだ
何のために撒いているんだ
疑問が彼の脳内を埋め尽くした時
鈍い音と頭に衝撃を感じながら
康隆は意識を手放した
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