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「名前は男女別に、出席番号順で交互に呼んでいくからなー」
鶴田先生は
出席簿を懐かしむように見ながら言った
だが生徒は
誰一人として鶴田先生の再会に喜んじゃいない
こんな状況ってこともあるだろうが
「男子1番、上田真木」
後ろの方で固まっている生徒の群れから
メガネを押し上げて
前に出て来る
兵隊から支給されるデイパックを
受け取ると、若干顔を強ばらせて
無言で走り去って行った
「女子1番、有賀さつき」
さつきは
躊躇うことなく走ってデイパックを受け取ると
そのまま教室を出た
次の次に
あたしが呼ばれる
義子は身震いした
「男子2番、岡本涼介」
青海高校のアイドルは
こんな時でも、必殺スマイルを振りまいて
デイパックを受け取ると鶴田先生に顔を向けた
「どうした?岡本」
「久しぶりに会ったから少し変わったと思ったけど、全然変わってませんでしたね♪」
そう言い残して
涼介は軽い足取りで教室を出て行った
鶴田先生は
涼介が言った言葉が気になったが
次々に名前を呼んでいく
「女子2番、岡田義子」
呼ばれた
義子は藤林先生を見た
藤林先生は
顔色が悪くなっているが
義子と目が合うと
へたくそなウィンクをしてきた義子はそれに吐き気を感じつつ
デイパックを受け取り
教室を出た
教室を出たら
試合が始まると言っていた
義子は嫌いや
走って学校の外へ出た
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