心の糧

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  ふと振り返れば、脳裏に浮かぶたくさんの顔。   出会い、別れ。   このちっぽけな人生の中で、なんとたくさんの人と出会い、別れて来ただろう。   小さい頃育った団地の仲間、まるで家族のようだった仲間。 引っ越して以来、もう二度と会うことはなかったけど、今でもあの頃のまま、この心に生きている。   ぐれるのは俺だけでいいから、お前はまっすぐ生きろと言っていなくなったあいつ。 その言葉は、今も色褪せる事無くこの心に刻まれている。   追われるように辞めて行った不器用な先輩。 その先輩が故郷の広島へ帰る時、たった二人きりで見送った無人駅。 無言でかわした握手は今なお胸を打つ。   ひとつひとつ挙げて行けばきりがない程の出会いと別れ。   気が付けば、いつしかそれが生きる糧となって、駄目になりそうな自分を支えてくれていた。     これからも、いくつもの出会いと別れが起こるだろう。   色々な形で、色々な長さで、色々な深さで。 でも、そのどれもが貴重な財産。   心の財産。   出会った人みんなに対して、出会えた事を感謝してこれからも生きて行きたい。  
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