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…蓮実の言いたい事は、大体わかった。
死を頑なに拒んだ暁じいの魂が、
役目を終えた肉体に無理やり入り込み、
暁じい自身は生き返ったと勘違いして
「何処か」へ「消えた」…。
かもしれないということ。
事件と言うには、あまりにも痕跡が無さ過ぎる。
蓮実の存在自体や、言っていることは非現実的だが、
今のところかなり説得力がある。
実質、蓮実の姿が見えている今の時点で、
むしろ蓮実の言っている説こそが現実的だ。
「蓮実よぉ。あんた、心当たりとか…何か無いの?なんか、こう…2人の思い出の場所的な…?」
あっ。泣きやみましたか?八尋。
まぁ、ベタな質問だが。
「思い当たる場所は、殆ど行ってみました…でも、どの場所も面影一つ無くて…。」
「そうよね。今の花ヶ濱と、昔の花ヶ濱とは、建物も道も地形も違うわ…。
少なくとも、その頃の原型を留めている 場所なんて、
今の花ヶ濱には…」
美るての言うとおり。花ヶ濱は云われの深き城下町。歴史的建造物が数多く残る地。しかし、半世紀以上経った現在の花ヶ濱では、
蓮実一人では
見知らぬ土地に人を探しに来たようなもの。
暁じいの匂いだけを頼りにしていたら、美桜についてきた始末。
「でも、だったら逆に探しやすいハズよ?
逆に、探せる場所は限られているわけだから。
それに私達、
部活で花ヶ濱市中取材し尽くしてる。
花ヶ濱で知らない場所なんか無いわ蓮実さん😃」
さすが、部長の海里。
「とりあえず、夏休みはトぶな💨」
ボヤキながらも出発の準備をする光明。
そんな中…。
「…俺帰るわ」
美桜だ。
「あぁ💢お前何ぬかしよるんじゃ💢」
八尋お怒り。
「美桜君…。」
「意味わかんねーし、…ありえねーだろマジで。
この女のせいで暁じいが今消えちまったかもしれねーだろうが‼」
美桜が言いたいのは、蓮実さんに対する未練を引きずっているが故に、死を頑なに拒んだのかもしれないってこと。
「勝手に背中につかれるわ…迷惑なんだよお前。
自分で探せねーって分かったら俺達に泣きついて来やがって。
つか何?暁じいの匂い辿ったら俺にたどり着いた?
他の男の匂い混じってんの気付かったのか?
好きな男一人探せねーのかこの馬鹿…っ」
「お前っ…」八尋が美桜の胸ぐらを掴む前に、
―バチン―
…美桜の前には、手を赤く腫らし涙ぐんだ美るての姿が映った。
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