セーラー服とマセガキ(暁じい編②)

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…蓮実の言いたい事は、大体わかった。 死を頑なに拒んだ暁じいの魂が、 役目を終えた肉体に無理やり入り込み、 暁じい自身は生き返ったと勘違いして 「何処か」へ「消えた」…。 かもしれないということ。 事件と言うには、あまりにも痕跡が無さ過ぎる。 蓮実の存在自体や、言っていることは非現実的だが、 今のところかなり説得力がある。 実質、蓮実の姿が見えている今の時点で、 むしろ蓮実の言っている説こそが現実的だ。 「蓮実よぉ。あんた、心当たりとか…何か無いの?なんか、こう…2人の思い出の場所的な…?」 あっ。泣きやみましたか?八尋。 まぁ、ベタな質問だが。 「思い当たる場所は、殆ど行ってみました…でも、どの場所も面影一つ無くて…。」 「そうよね。今の花ヶ濱と、昔の花ヶ濱とは、建物も道も地形も違うわ…。 少なくとも、その頃の原型を留めている 場所なんて、 今の花ヶ濱には…」 美るての言うとおり。花ヶ濱は云われの深き城下町。歴史的建造物が数多く残る地。しかし、半世紀以上経った現在の花ヶ濱では、 蓮実一人では 見知らぬ土地に人を探しに来たようなもの。 暁じいの匂いだけを頼りにしていたら、美桜についてきた始末。 「でも、だったら逆に探しやすいハズよ? 逆に、探せる場所は限られているわけだから。 それに私達、 部活で花ヶ濱市中取材し尽くしてる。 花ヶ濱で知らない場所なんか無いわ蓮実さん😃」 さすが、部長の海里。 「とりあえず、夏休みはトぶな💨」 ボヤキながらも出発の準備をする光明。 そんな中…。 「…俺帰るわ」 美桜だ。 「あぁ💢お前何ぬかしよるんじゃ💢」 八尋お怒り。 「美桜君…。」 「意味わかんねーし、…ありえねーだろマジで。 この女のせいで暁じいが今消えちまったかもしれねーだろうが‼」 美桜が言いたいのは、蓮実さんに対する未練を引きずっているが故に、死を頑なに拒んだのかもしれないってこと。 「勝手に背中につかれるわ…迷惑なんだよお前。 自分で探せねーって分かったら俺達に泣きついて来やがって。 つか何?暁じいの匂い辿ったら俺にたどり着いた? 他の男の匂い混じってんの気付かったのか? 好きな男一人探せねーのかこの馬鹿…っ」 「お前っ…」八尋が美桜の胸ぐらを掴む前に、 ―バチン― …美桜の前には、手を赤く腫らし涙ぐんだ美るての姿が映った。
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