暁じい編①

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ガコン……。 体育館前の自販機で五人分のジュースを、溜め息混じり買っている美桜。 「美桜君……あっ。有難う。」 話しかけようとした美るてに水が手渡される。 「お前は、水でええやろ?」 美るては、アナウンス担当。喉に人一倍気を使っているため、部活動中にジュース類は絶対に飲まない。 そして、炭酸ジュースはもってのほか。 一度昼休みの生放送中に水分補給のために水を飲もうとして、手違えて八尋の炭酸ジュースを飲んでしまい、途端に咳き込んだうえ嗚咽を起こし持ち直せなくなり、生放送中に大惨事を起こしてしまったトラウマがあるのだ。 「…あっ…えと…美桜君、今日終わったら、一緒にかえ…」 「じいちゃんとこ行くから無理。」 ………。 「そ……か。」 ………。 多分、今何話しかけても、「………。」のループ何だろうなぁ。と、空気を読んでみる美るて。でも、堪えきれずに 「あっ……じゃ、途中までいっしょに……」「いい…いらん。」「………。」「………。」美るてと美桜。彼氏と彼女でいる時間より、幼なじみ、友達としての時間の方が限りなく多い。 美るてから言わせれば、片思いしていた時間も含める。だからなのか、それともお互いの気質のせいなのか、少しマセているのに気分屋の美桜に、少し子供っぽいのに気ぃ使いの美るてがいつもあしらわれたり、美桜の気分に振り回されたりしている。 「好き」だなんて言葉、もう、どれだけ聞いてないだろう………。 それも美桜の気分次第。仮に、自分から言ったって、軽くあしらわれるか無視されるし。 「コレ、上まで持って行っといて。俺、もう行くから✋」 「美桜君っ⁉鞄は…」 「今日財布しか持ってない。…じゃー✋」 そっけない。本当、そっけない。 自分たち、本当に付き合ってるのかわかんない。 私に何言ったって、無駄だとでも思ってるのかな? 話くらい、いくらでも聞いてあげられるのに…。 ひょっとして、付き合ってくれるって返事してくれたのって、美桜君のいつもの気まぐれかなんかじゃないのか………。 いけないとは分かっていても。 考えても悪い考えしか浮かばないって分かっていても。 手渡されたお茶やジュースや水の入った四本のペットボトルを抱えながら、 美るては色々と考えられずにはいられなかった。
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