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「暁じいの恋人ぉ⁉」
体調不良の美桜と、茫然自失の海里と美るてを気遣って、
取材を早々と切り上げたHSKメンバー。
八尋と光明は何故かこの少女を見ても平気らしい。
物怖じせずに、
美桜の背中につかまる少女を質問攻めに。
そこで、
少女は口を開いたのだった。
「…はい。あっ…私、
蓮実と申します。 」
海里と美るてもようやく落ち着いた様子。
「で…あんたなんで俺の後ろにいんの?」
話し掛ける美桜。
「あっ……💦すみません。…貴方からあの人の匂いがしたから…」
「あの人って、暁じいの?」
「…えぇ。」
彼女は、どうやら若き日の暁じいの恋人だったようだ。
身分違いの恋に落ちたこと。
婚約者のいた暁じいのため、身を引いたこと。
戦争によって完全にその絆が引き裂かれたこと。
今生、再びまみえる事無く、
自分は病に倒れてしまったこと。
蓮実が話し終えた後、女子メンバーの目頭は涙で大惨事状態だった。
「……んだょぉ…ひっぐ💦蓮実ぃあんだぁ…ぐっ…ぐろうじだんだねぇ…うぅ💧美るて…はんがぢじょうだぁい💧」
「…っつハンカチぐらい…ひっぐ💦自分でもっどぎなざいよぁっうぅ💦」
「八尋ぉ…はい、はんがぢ…ひっぐ💦わだじ、二枚もっでるがら…ひっぐ💦」
これじゃ女共じゃ話にならへんと思ったのか、話を切り出す意外と冷静な光明。
「で、あんた結局一体何が目的なんだ?
」
「…あの人を、どうかあの人を助けてあげて…‼」
「…⁉あんた、あのじじぃが今どこにいんのか知ってんのか?」
ピクッと、美桜が反応した。
「知ってるのか⁉暁じい今どこに居るんだっ⁉⁉」
蓮実は、美桜に少し驚きながら、静かに語り始める。
「…わかりません…あの人が亡くなったあの日、私はあの人の魂を迎えに来たのです。ですが、その時には既にあの人の魂は…
身体ごと消えたと言うことはもしかしたらあの人…
」
「生き返った?」
「……稀にあるのです。自らの死を頑なに拒否する魂が、無理やり役目を終えた身体に入り込む…。
でも、生き返ったのではありません。
生き返ったと勘違いしているだけ…。
このままでは、
身体と共に魂も朽ち滅んでしまう…
そうなれば、魂は永遠に…生まれ変わり再び2人が出会う事も出来ない…。」
「…蓮実さん…」
美るては蓮実の目頭にハンカチをあててやるが、
透けてしまう。
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