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セーラー服とマセガキ(暁じい編②)
それから数日後。
不可解な出来事が起こった。
葬儀を控えた暁じいの遺体が、
棺から忽然と姿を消したのだ。
事件か?超常現象か?
暁じいの自宅には、噂を聞きつけた人々、
パトカーや救急隊。
果てはテレビ局の取材クルー。
対応に追われる暁じいの親族の人達でごった返していた。
その中には、ご存知花ヶ濱高校HSK部の取材クルーの面々も。
「すっげー人やなぁ💦っとに💨暇人共が揃いも揃って💨
夏休みの友と算数のドリルでもやってろっての💨」
「八尋ぉ、その言葉、そっくりそのままうちらに帰ってくるからやめてくんない💧」
重そうな取材カメラを持ちボヤく八尋。
それを諫める音声担当海里。音声機材を黙々と動かす光明。
「突如としてその姿を消した篠崎暁之丞氏の自宅にはご覧の通り、沢山の人達で溢れています…」
マイクを手に、リポートをする美るて。
このクソ暑い中、ご苦労様です。
美るてがふと日陰に目をやると、
さっきまで共に取材をしていたマセガキの美桜がしゃがみ込んでいる。
数日前から、美桜とは微妙な雰囲気。
話もあまり出来ていない。
一瞬、日射病かな?と思ったが、どうもそうではないらしい。
「お世話になったおじいちゃんだもん。
こんな事になって…
無理ないか…」
だけど敢えて声はかけない。
ってか。かけられない。
美るての視線を追って、美桜の様子に姉の海里が気づいた。
「美桜どうしたの?気分悪いの?」
姉の特権を内心羨ましがりながら、
海里と共に美桜に駆け寄る美るて。
「大丈夫…?」
「ん…?あぁちょっと……しんどかったから…」
「…日射病?」
「いや……身体が、なんつーか重くなったみたいで…」
美るてが美桜に手を差し伸べたその瞬間。
2人は、美桜の背に、何かが居るのを確認した。セーラー服を着た黒髪の少女の姿だ。よく見ると…足が、無い。
見間違いかと思ったが、
どうも…。
見間違いでは無いようだ。
人間本当に現実逃避をしたい時には、
目を反らせない。声も出ない。
つまり。逃避なんて出来ない。
呆然とした2人に尋常ならざる事態を悟った美桜は、
恐る恐る首を後ろにやった。
「…あぁ、良かった💨やっと見つけてくれたのね。」
少女が美桜に声をかけた瞬間案の定美桜は倒れ込んだ。
3人の様子に、少女の方が心配そうだ。
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