序調

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――紫のエピソード―― 早朝。 目が覚めて、一旦のびをした紫は体を起こした。 紫『ふぅー…』 起こしてから、また伸びをする。  普段は、紫と、紫の式神の藍、藍の式神の橙で共に生活をしており、紫が目覚めると藍が朝食を持ってきてくれる。 筈なのだが…。 紫『……藍?』 この日は何故か藍がいなかった。 今までに、紫が起きても隣に藍がいなかった時は、数える程しかない。 藍は“式神”といえど、そこらの式神とは桁が違う。 膨大な霊力を持つ紫の式神な為、藍も多大な霊力を持っている。 自立して、自分のやりたいことを24時間365日、自由に出来るのである。 紫は寝ている時間が極端に多く、冬眠をする程。 だから、家事等は全て藍に任せるのである。 この日も、 いつも通り藍が朝食の支度をして、紫が起きるのを待っているはずだったのだ。 紫『ここにもいない…。 霊力が少しも感じないなんて…。 』 流石におかしい。 霊力が全く感じない。 紫『出掛けたのかしら…?』 いや、そんな筈は無い。 藍は、紫の許可無しで外出した事は一度も無いからだ。 となると…。 紫『まさか…。 消えた…?』 という事しか思い当たらない。 何で消えたのかしら…? 慌てても仕方ないと思い、消えた原因を考える事にした。
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