序調

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紫『何故消えたのかしら…。』 呟いた後、 紫は無言で考え始める。 「消えた」と、紫が確信出来たのは、周りに微塵も霊力が感じられないからだ。 となれば、紫が消えるとしか考えが付かないのも頷ける。 いや、消えたのではなくスペルカードとして戻ってたら…? 式神「八雲 藍」は、危険な時以外、自ら戻る事は無い。 … しかし… あるとすれば1つだけ、 嫌でもスペルカードとして紫の手元に戻って行く場合がある。 それは、藍の霊力が残り少なくなる事…。 だが、この場合は藍が戦闘しない限り有り得ないし、敵の霊力反応も感じない。 しかも、スペルカードには少なくとも微量の霊力が存在するのだ。 藍のスペルカードが戻れば嫌でも気づくはずである。 …。 やっぱり消えたのかしら…。 と考える紫だったが、 紫の頭には何故だか引っかかる物があった。 “消えた”要因に対してではなく、“戻った”要因に対して…。 それが何かは分からない…。 分からないが、絶対何かを見落としている気がしてならなかった。 とりあえず、持っている札を確認する。 …え!? 『…あった!?』 安堵と驚きが入交った感覚…。 スペルカードが存在したのだ。 式神「八雲 藍」が…。 『………。』 藍がスペルカードとして紫の元へ戻る時、紫が気付かないなんて事は絶対に有り得ない。 …絶対有り得ない。
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