サイドストーリー

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なんでだろう? 私、二ノ宮和葉は 兄を好きになってしまった。 兄はかっこいいし、優しいし、 一部を除いては 完璧な男性と言っていい。 でも、私は妹だ。 だから、兄は兄でしかなかった。 「何時からだろう?」 私が兄を 愛するようになったのは。 気付いたら戻れなくなっていた。 後悔とかはない。 でも、何かスッキリしない。 「あぁ、ムカつく」 どうしようか? そんな疑問は意味を成さない。 忘れてしまった以上 思い出すことしかできない。 「何してんだ?」 声がかかり後ろを見ると 二ノ宮秋人が立っている。 「別に」 好きだけど、 今は顔を見られたくなかった。 少し冷たくしたつもりだか 相手は気にした様子はない。 「そう。……和葉は今暇か?」 「まぁ、暇だけど」 「じゃあ、買い物行くか?」 何気ない、 その一言で思い出した。 あぁ、そうだ。 私が二ノ宮秋人を 好きになった理由。 彼が兄だからだ。 家族という 特別な枠組みにいるから。 彼が私を見てくれるから。 「うん」 愛があれば どんな困難も乗り越えられる。 兄だからって容赦はしない。 必ず私を愛させてやる。 心に誓い、兄の腕に抱きつく。 慌てる彼は可愛くて、 ついついイジメたくなる。 大好きだよ、兄さん。 声には出さず、 抱き締める力が強くなった。 今はこれで我慢しようと思う。
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