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夏休み初日。
「あっちーなぁ…」
高崎龍平は、アパートの一室で扇風機を付けながら言った。ついでに、うちわで扇いでいる。
「大体、クーラーぐらい付いてるようなアパートなんじゃねぇのか?」
龍平の住んでいるアパートは、新築のくせにして、大家の部屋以外クーラーが付いていないという、とんでもないアパートであった。
しかし。
「まあ、でも家賃が安いのは助かる」
クーラーがついていないせいか、家賃が凄く安くなっていた。
「あー、暇ー。なんで、こんな時に諒はバイトで、恵は夏フェスなんだよ…」
諒は、親友の坂本諒の事である。夏休みは、バイト尽くしでいくらしい。
そして恵は、そこそこ仲がいい小泉恵の事である。音楽ファンで、今年こそ、全部の夏フェスに行くんだって張り切っていた。
「バイトはいいとしても、夏フェスってどうなんだよ!」
龍平自身も音楽は嫌いではない。それどころか、夏フェスには行きたいと思ってるが、お金がないので行けずじまいである。
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