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遥か遠い昔、この世界を戦乱に陥れた魔族の長、魔王でさえも、今は平和な風に呑まれて一戸建て住宅に住んでいた。とても近所付き合いを大切にしている。
彼が魔王の称号を抱く者だと知らない民もいるほどに穏やかな平和は浸食していた。
キャラが濃い国王達も、自国をよりよくするため努力し、民衆もそれに応えていた。
――だが、平和と言うものはそれに至るまでは長く辛いものなのだが、崩れるのは呆気ないほど簡単だった。
とある日。何故か突然、唐突に。
魔王の強力過ぎて持て余していた強力な魔力が、彼の隣に住んでいた田中という平凡な男に移ってしまったのである。
その強大な力に溺れ、煩悩の塊――天上天下唯我独尊と叫んだ例の人が見たら憤慨しそうな存在――となった田中は、悪い意味で魔族の王に成ってしまった。
そして田中は世界を我が物にしようとその強大な魔力で配下を創造し、服従させ、着々と戦力を増強させていき――ついには世界に宣戦布告をしたのだった。
田中は自分が住んでいた国“グゼ国”を征服するとそこを拠点に世界に攻撃を開始したのである――
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