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――魔王軍の世界侵略が開始されてから五年の月日が流れた。
魔王軍、又は田中軍団の圧倒的な兵力や古来からの魔族による猛威は留まる事を知らず、既に十の国が征服、またはその一歩手前まで追い込まれていた。
そして現在、グゼ国から最も離れていたため、当初難を逃れてていた最東の国“ブサ国”は魔王軍の大規模侵略部隊に攻め込まれ、建国以来未曾有の危機に陥っていた。
――ここはブサ国国境付近に延々と広がる荒唐無稽な荒野である。
そこで二つの波が衝突し、混ざり合い、お互いを怒号と共に削り合っていた。
ブサ国に嵐の濁流が如く攻め込んでいるのは魔王軍の侵略部隊である。その侵略部隊は“オーク”によって構成されていた。
オークとは直立二足歩行の形態をとった豚の怪物で、厚い脂肪と人間の比ではない強力な筋肉、そして魔法学を理解出来ないものの命令を理解する高い知能を持つ。
そのオークの数、凡そ三万。
地響きを鳴らし、砂煙を津波が如く巻き上げながら荒野を侵攻する大軍を必死に迎え撃つのはブサ国の兵士達。
皆、白い鎧に身を包み、ブサ国の国旗を誇り高く上げて粉骨砕身の勢いで、迫り来るオークに立ち向かっていた。
しかし、開戦から数時間後、ブサ国の兵士団は戦々恐々、疲労困憊、敗戦一色。
つまり壊滅していた。
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