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六月、長袖のシャツから半袖のシャツに変わりゆく時期、街の人ゴミの中でただ歩いて行く人々、そんな中で一人学校にもいかず、何も考えることなく…俺はそこにいた。
俺はいつも一人でぼやいていた。
「生きる意味って…なんだ…?」
俺は極度に疲れていた、政治や経済や地球環境や人間問題。
この世界そのものの意味がわからなかった。
俺は前まではこんな人間ではなかった、こんな世界でも頑張って生きなければならないと思い、勉強、ボランティア、サークル活動など色んな事を積極的にやってきた。
この世界に生を受けて早十数年、生みの親は俺に翔という名を与えた、性は瓦谷木、だけど今となっては誰も俺の名前を呼ぶやつはいない、あの事件以来…。
俺はこれまで必死に頑張って生きてきたつもりだ、頑張った甲斐もあってかそれは自分自身の成績となって返ってきた、もちろんそのおかげか女子などからにも人気があった。
だがそんな俺を快く思わない人間もいた。
自分の努力不足を境目にそれは行動に出るようになった。
「じゃあね翔君!」
「うん、ばいばい」
あれはいつもの学校帰りの事だった。
俺は最後の授業が終わり、いつものように家に帰ろうと鞄に手をかけた時だった。
「ん?翔君なにか落としたよ」
鞄の中から一枚の写真がゆっくりと揺れながら地面に落ちた。
「え?」
その落ちた写真を女子は親切心からか拾い上げてくれた。
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