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少し思いとどまり、その丘に腰を降ろして今までの人生を振り返りながら夜空を見上げた。
その時見上げた夜空の月は満月だった。
丸い…丸い満月、心がからっぽだった俺はその満月を一瞬で目に焼き付けた。
「綺麗だ…」
もの思いにふけっていたその時だった、君に出会ったのは。
「こんにちは」
誰かの声が後ろから聞こえ、少々驚きながら後ろを振り返った。
振り返って眼に映ったのは白い服を着た女の子だった。
「君は…?」
その少女は今までに見たことのないような不思議な気をまとい、不思議と見ているだけで安心感を得られた。
「そこの病院から抜け出して来たんです」
そう言って少女が指さした先には病院があった。
何も考えずに歩いていたのでこんな近くに病院があった事に俺は気付かなかった。
「どうしてここに?」
俺はその少女が気になりそう質問した。
「ここの景色が好きなんです、たまに抜け出してはここに来るんですよ」
少女はほっそりとした身体をしている…。
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