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「抜け出して…大丈夫なの?」
「大丈夫じゃありませんけど…今日はどうしてもこのお花の種をここに植えたくて来たんですよ」
そう言って少女は手に持っていた袋から種を取り出した。
「どうしてそんな事を」
「この丘が好きなんです、だからお花を咲かせてもっと素敵な場所にしたいんです」
俺を見つめる少女の瞳は真っ直ぐでとても澄んでいた。
少女の瞳に映る満月と海はまるで一つの絵画のようだった。
俺が少女に見とれていると少女は手に持っていた種を植え始めた。
「俺も…手伝うよ!」
どうしてか体が勝手に動いた、俺は少女と一緒に花の種を植え始めた。
途中何度か少女がふらつき、自然と俺はその体を支えてあげていた。
「ふぅ~…やっと終わった」
俺はその場に座り込んで一息をついていると、少女が俺の隣まで移動しその場に座り込んだ。
「ありがとうございます…、花…咲くといいんですけど…」
座り込んだ少女の横顔は満月の光に照らされてとても綺麗に見えた。
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