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「名前…なんていうの?」
「志穂といいます、あっ苗字は柊です」
その後、ようやく志穂という名前を聞けた俺は座り込んだ丘で長々と喋りこんだ。
志穂は色々話してくれた、好きな食べ物や趣味や嫌いな事、今日あったはずなのになぜか前からずっと知っていたかのように気軽に話してくれた。
「へー、絵を描くのが好きなんだ」
「病院の室内で出来るのってこんな事ぐらいだから…」
「じゃあ今度俺の絵でも書いてくれる?」
「いい…です…よ」
「おい!?」
返事と共に志穂は苦しそうな表情を浮かべながらその場に倒れた。
「しっかりしろ!!」
息苦しそうな顔をする志穂をこのままにするわけにもいかず、俺は志穂をお姫様抱っこで持ち上げ病院に向かった。
病院に着くと俺はすぐに院内の人を大声で呼んだ。
「…柊さん!?」
駆け付けた院内の人はすぐに志穂の状況を探った。
「急に倒れたんです、早く見てやってください!」
俺は志穂を院内の人にまかせ、診療室の前で長い時間座り続けた。
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