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「もう大丈夫です」
俺の元に一人の医者が駆け寄りそう伝えてくれた。
俺はすぐさま立ち上がり、志穂の病室に向かった。
「大丈夫か!?」
志穂の病室のドアを開けて、志穂が視界に入る前にそう叫んだ。
「うん…大丈夫、心配かけてごめんね」
大丈夫そうな志穂の顔を見て肩の力を抜いてほっとした。
「そうか…じゃあ俺帰るから…お大事に」
大丈夫なのを確認したので帰ろうと後ろを振り返った時、俺の服の端をそっと志穂は握った。
「また…会えるよね?」
俺はその言葉を聞いて振り返ってほほ笑んだ。
「また会いにくるよ」
そう言うと志穂は握っていた服を放して微笑み返してくれた。
病院から出た俺はさっきまでの俺とは違い、今まで持ったことのない暖かい感情を抱いていた。
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