3286人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまままた隣の女性に手を引かれ部屋から廊下に出た。
廊下と言うより部屋を出たらすぐにエレベーターがあった。
この階は社長室しかないのか?すごい豪華だな。
そう疑問に思ったが先に解決したいことがあったので隣の女性に聞いてみることに。
「あの、綾香って誰ですか?」
僕の質問を聞いた女性は何言ってるのというように視線を投げてくるが、はっと気付いた様子で話し出した。
「そういえば自己紹介がまだだったね。私は桜庭綾香(さくらば あやか)この会社の社長の娘で次期社長よ」
笑顔で自己紹介された。
この人の笑顔ってなんか落ち着く気がする。
っと今はそれじゃなくて、じゃあさっきの社長は綾香さんのお母さん?
あんまり似てないと思う。
僕が考えてるのが顔に出てたみたいで綾香さんは暗い表情になっていく。
「私は本当の両親は知らないわ。ずっと孤児院にいて、ここの社長が私を引き取ってくれたの」
少し悲しそうに語った。
悪いこと聞いちゃったな。
「でも今はちゃんと私にはお母さんがいる。血は繋がってないけど、それでも私は本当のお母さんだと思っている。今はとっても幸せよ」
すごい眩しい笑顔を僕に向けてきた。この人はすごいな。
暗い過去がありながらも現実を受け止め、ウジウジせず前向きに考えている。これは尊敬してしまう。
こんな人を変質者と疑ってしまって僕は情けない。そして申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
最初のコメントを投稿しよう!