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ちょうどメイクルームと書かれた部屋に着いて、綾香さんは扉を開けずに僕を見ながら話し掛けてくる。
「始めは私のことどう思った?」
僕は何を言えばいいのかわからなかったが、素直が一番と思い答えた。
「怒らないでくださいよ。
僕は変質者だと思っていました」
変質者?といいながらジトーとした視線を向けてくる。
「なんで変質者って思ったの?」
少し首を傾けながらわからないと言った様子で聞いてきた。
僕はちょっと言いにくかったので、下を向き頬をポリポリと掻きながら答える。
「それは綾香さんが悪いんですよ。
いきなり初対面でいい声って言って、その後ニヤッと笑ったじゃないですか」
そう言うと綾香さんははっとびっくりした様子で聞いてきた。
「私、そんなニヤッて笑ってた?」
自分の顔をペタペタと触りながら確認するように聞いてきたので僕は無言で頷く。
「そりゃあ変質者って思われても仕方がないね。
でもその後は素直にここまで着いてきたじゃない。どうして?」
綾香さんは自分が言ったこと忘れたのかなあ。
忘れられちゃ困るんだけど。僕はこのことで着いてきてるんだから。
「綾香さんがいいバイトを紹介してくれるって言うから、着いてきたんじゃないですか」
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