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「なんか余計な時間取っちゃってごめんね。じゃあ入ろっか?」
そう言うとメイクルームの扉を開けた。
中に入って目の前にあったのは長い机。
左には衣装などが掛けてあり、右には椅子があり椅子ひとつひとつの前に備え付けの鏡がある。
「じゃあその辺の鏡の前の椅子に座っといて?準備するから」
綾香さんはそう言うと自分が持っていた鞄を漁りだした。
僕は一番端の椅子に座る。
目の前に鏡があり、そこには僕が映り、僕の延長線上に綾香さんがいた。
こう見ると綾香さんって美人だな。モデルとかやってないのかな。
そう考えながら綾香さんをまじまじと見てみる。綾香さんは髪はうすい茶色で毛先をパーマをかけているんだろう、軽く巻かれている。とても大人の雰囲気を醸し出していた。
すると綾香さんは鞄を漁るのをやめて僕の視線に気付いたのかこっちを見てきた。
僕はすぐに目線を下に向けたが時既に遅し。
「なに?私をじっと見てきて」
綾香さんは悪巧みを考えた少年のような顔で僕に近づいてくる。
「いや、なんでもないです」
正直に言えるはずもなくそうごまかす。
「正直に言いなさい?お姉さん怒らないから」
ジトーと僕から視線を外さずに見てくる。
そんな全てを見透かすような目で見ないでほしいよ。
こんな綾香さんには敵うはずないじゃん。
「…………見とれてたんですよ。綾香さん美人だから」
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