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「しゃ、社長、僕も芸能高校に行かなければいけませんか?」
一応ダメ元で確認してみる。
しかし返ってくることは予想していた通りだった。
「あんた、ちゃんと人の話を聞いてたかい?私は三人とも芸能高校に通わせると言ったはずだが」
やっぱりダメか。
しかしここで引き下がってはいけない、こればっかりは譲れない。
「社長!僕だけでも公立の高校に通わせてくれませんか!?
僕は私立に行けるだけのお金がないんです」
その後、僕が私立に行けない理由を話した。
家は母一人で働いているが、体を壊し、自宅で働ける仕事しかなく、まともな収入がないこと。姉も一応バイトはしているが姉もまたまともな収入ではないこと。
それらのせいでどんどん借金が増えていっていること。
これらを話すと、社長は顔を歪ませ、少し迷っているみたいだ。
「そんな事情があったのか……」
みんな一言も喋らず、部屋は静寂に包まれた。
しかしそれも一瞬で、沈黙を破ったのは社長だった。
「わかった。こちらでなんとかしよう」
僕の顔がパァと明るくなるのを感じ、社長に御礼を述べようとするが、社長の次の言葉で口を摘むんだ。
「しかし、条件が二つある」
その言葉に僕は落胆し、顔はまた暗くなる。
「条件ですか?」
社長に確認するように聞き返す。
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