スカウト

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「ああ、条件だ。 まず一つ目。 あんたには私の知人が校長をしている高校に行ってもらう」 えっ?なんでだろう。 そう考えているのがわかったのか社長は話を続ける。 「いきなり仕事が入ったりすることがあるだろう。 しかし校長が味方につけば、家庭の事情とかいって、学校を早退することができる。 わかったかい?」 いきなり仕事が入ったりするんだ…………ってそこじゃなくて。 「それってすごいずるいんじゃ……」 しまった。思っていたことを口に出しちゃった。 「だから今回だけ特別だ。 わかったか?」 社長はニッコリと僕に微笑む。社長優しいな……。 「わかりました。 ありがとうございます」 ぺこりと腰を曲げて御礼を言った。 「おいおい、まだもう一つ条件が残ってるで」 完全に空気と化していた陽介が僕にツッコミを入れる。 そういやぁもう一つ条件があったんだ。 また視線を社長に向けると社長は話し出した。 「もう一つの条件は、公立に行くんだから変装して行ってもらうよ」 何故?と思っていると龍治が答えてくれた。 「有名人が同じ高校に通ってると知られてみろ、すごいことになるぞ!? おそらく、気が休まるところはなくなるな」 想像してみた。 …… ………… 嫌だ、絶対嫌だ。 「お願いします。変装させてください」 素直に頼んだ。 だって気が休まるところがなくなるって最悪じゃん。 社長は満足という感じに頷いている。
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