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『生徒の呼び出しをします。１年５組の、中村さん、中村さん。職員室、木村のところまで来て下さい。』
美奈の呼び出しか。珍しいこともあるもんだな
そう思っていると、美奈に職員室まで着いて来て欲しい、と言われた。断る理由もなく、うん！と答え、取り出した教科書を自分の机に置き、職員室に向かった。
「じゃあ、私ここで待ってるね！」
私は職員室の前で止まった。
「うん！ありがとっ」
そう言って美奈は職員室に入っていった。
ちなみに『木村』というのは、私たちの担任。
とくにすることもなく、壁にもたれて、美奈が出て来るのを待っていた。
何人かの先生が職員室を行き来している。
先生が出たり入ったりするたびに、私は顔を上げてしまう。
期待してるんだ。
山下先生が来ることを。
でも先生がそこを通ることは、なかった。
下を向きながら、来る確率なんて少ないんだから、と自分を納得させられた。
そう思いながら、ふと顔をあげた。
すると前から、だるそうに歩いてくる長身の男が来た。
山下先生だ
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