初めて見る顔と現実

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  「分かり‥‥‥」 目を見開いたまま固まった。 「‥ん?」 そう言った先生は、私が手に持っていたミュージックプレイヤーを手に取り、操作しはじめた。 その瞬間、音量が一気に大きくなった。 「ぅ‥わぁあ!!!」 私は驚いてイヤホンを外した。 「ちょっと、俺のほうがビックリする。」 「‥えぇ!!先生が音量大きくするからじゃん!」 「‥っはは‥‥‥」 「‥?」 笑ってる? 笑って‥‥る‥ 先生が‥笑った。 ‥‥先生が‥。 山下先生が‥‥笑ってるよ。 「山崎さん‥‥、めちゃくちゃ必死な顔してる‥。ははっ」 「うそ!?」 「っていうか、俺もこのアーティスト好き。歌詞いいよな。」 「え‥。あぁ、うん」 いきなり話を変えられて、びっくりした。 「ていうか、注意しないの?」 「あぁー、山崎さんの必死な顔に免じて、今回は許します。」 「え、本当!?ありがとうございます!」 「いや、こちらこそ、ありがとうございますー」 「‥何で?」 「何かあったとき、必死な顔を思い出せば笑えるから。」  
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