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弁当を食べ終わり、美奈が手を洗いに行くと言ったので、私もついていくことにした。
手を洗いながら、次の授業のことを話した。
「あ、中村さん」
少し遠い場所から、美奈を呼ぶ声がした。
誰かは、大体分かっていたけど、相手の場所が分からないので、二人してキョロキョロしていると、さっきよりも近い場所から、もう一度声がした。
「山崎さんも一緒か。」
その声がしたと同時に、美奈と同じタイミングで右を向いた。
蛇口を止めて、話し出した。
「何ですか?」
そう言ったのは、もちろん私じゃなくて、美奈。
「今日、部活あるから。」
「あー‥」
「何か用事とかあるの?」
「え‥。いや‥‥。」
私は冷めた目をしていたのか、山下先生がこっちを向くことはなかった。
「じゃあ、ちゃんと来るね。」
そう言って、先生は行ってしまった。
「‥行かなきゃ、ならない‥ね‥‥。」
美奈が残念そうに話し掛けてきた。
「ねー‥。でもこうなったら、しょうがないよ!」
「だね~‥」
二人とも肩を落としながら、教室に戻った。
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