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平気そうに振る舞っているが、内心ドキドキだった。
もし会っても、話すつもりはなかったけど、部活に行くとなると、どうしても話さなきゃならない場合がある。
何度もため息をつきそうになるのを我慢しながら、午後の授業が始まった。
午後の授業は世界史。
覚えなきゃならない内容が、沢山あるはずなのに、一つも頭には入らなかった。
頭の中は、部活のことばかり。
正確に言えば、先生のことばかり考えていた。
忘れよう、と決心してから、時間は経っているはずなのに、私の気持ちにあまり変化はなかった。
でも、先生を避けるようになってからは、ドキドキする回数は減った。
このまま冬休みに入れば、先生と顔を合わせることは、なくなる。そうなれば、きっと先生のことは忘れられる。
「じゃあ、今日はここまでで。起立」
先生の声にハッとする。
急いで立って礼をした。
「由梨、さっきの時間ずーっと、ボーっとしてたよ。大丈夫?」
「本当?大丈夫大丈夫!」
美奈は少し心配そうな顔をしたが、そっか!、と言った。
最近、美奈に心配をかけすぎだなー、と少し反省した。
そんな感じで、午後の授業は終わった。
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