一番

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  キーンコーン 授業が始まる時間だ。 でも先生はまだ来ない。 3分‥ 5分‥ チャイムからもうすぐで10分たつ直前で、先生が教室に入ってきた。 「遅れてごめん‥」 先生の一言をきっかけに、沢山の生徒が声をかけた。 「先生大丈夫ですかー?」 「熱あるんですかー?」 一斉に質問する生徒たちに、一言だけで答えた。 「あー、大丈夫。ちょっと元気出たから。じゃあ授業始めます。教科書62ページを開いて。」 先生はそう言って授業を進めた。 相変わらず長い授業。 今日からは、少しくらい短く感じるかと思ったのに、逆にいつもより長く感じられた。 何でだろう 何かすっきりしない 何かひっかかる 授業の内容は、頭に入ってこなかった。 時々咳込む先生は、喋るのも辛そうなのに、一生懸命授業をしていた。 そんな先生に気を使ったのか、同情したのかは分からないけど、今日は誰一人後ろを向くことも、話すこともなく授業は終わった。  
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