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  「でしょーっ!お気に入りだからねー」 話が弾んでいく。 普通なら目立つような大きさの声でも、この教室では目立たない。 ガラガラッ ドアの音がした途端、シーンと静まる教室。 私はその瞬間が嫌いだ。 「はい、おはよー」 担任の登場。 その担任に続いて、副担任の山下先生も登場。 あーあ、来ちゃった。 そう思いながら、私もちゃんと席に座る。 ホームルームが始まって、今日の授業の確認などの話をする。 「以上です。じゃあ一時間目の用意をして待ってなさい。」 そう言って担任は教室から出た。 「一時間目はテスト返しするから、問題用紙だけ用意しといて」 それだけ言うと山下先生も教室から出て行った。 山下先生は普段ほとんど笑わない。 一週間に1回笑えば、よく笑ってるほうっていう感じの先生だから、特別生徒に人気があるわけじゃない。 でもクラスの女子からは、よくちょっかいだされている。 もちろんその女子の中に私は含まれないけど。  
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